いりびと。

疲れた、けっこう疲れた。

急遽、2連休の年休取得して実家へ。
会社に伝える理由は詳しく言う必要もないけど、
遠回しに必要性をイメージしてもらうように。
仕事から離れたい気分だったし。
「ちょっと所用があり実家へ」

実家に戻ってお母ちゃんに言った。
「会社に、お母ちゃんがボケたからって言うてきた」
そう言ったらケラケラと嬉しげに笑ってた。
いや、本当にボケた訳じゃないけど。

いろいろ理解しずらい事が多くなる年齢。

わざわざ帰った本当の理由。
お母ちゃんがスマホに変えたから。

電話の説明じゃどうにもならなかった。

当たり前に使ってる言葉とか感覚が通じない。
ギガとか、ホーム画面とか、アプリとか。
それ以前にどんな契約をしてきたのか？
そっから確認しとかないとえらいことになる。

でもね、お父ちゃんもねスマホなの。
ただ、お母ちゃんとの大きな違いは、
本人も全てを諦めてるので電話通話のみ。
ガラケーでいいのにわざわざスマホ。

これ、男子の法則のような気もする。
これを揶揄したとて拗ねるだけなので黙っとく。

スマホ満足のお父ちゃんはこのまま放置しとく。

振り返ると。

お母ちゃんはガラケーの時ですら、
ショートメールの文章はめちゃくちゃだった。
スマホになったら更に意味不明になった。

意味不の予測変換と記号の乱れ打ち。

打ちをしくじっても戻り方が分からないから、
前進するしかない状態が見て取れる内容。

そのくせ、練習２日目には
お友達が見てる韓国ドラマを観たいと言う。
いやそれも、NetflixとかAmazonプライムとか
いろんなオリジナルドラマがあるから。
そう言いたいけど本人もイメージできない。
検索できるほどの文字打ちもできない。

でもさ、おかあちゃんの言う事、やること全てを

訂正や否定したらお母ちゃんも悲しいじゃない？

シニアスマホ。
ホーム画面も大きくて、一発でTV電話っ！
みたいな感じで分かりやすいように見えるけど。
やっぱ、その存在や理由を理解するには大変よ。
なんだかんだ操作するのは本人だもの。

とりあえず。
Amazonプライムのアプリを入れてあげた。
データ量とか心配しだしたらキリ無いけど、
「鬼滅の刃っていうのが流行ってて、

必ずホームTOP画面に上がってるから

そのアニメを見るとこから始めてみ？」
今ドキを言い残して今は帰路の途中。

お母ちゃん。

昔から本をよく読む人。

文庫本でも漫画でも、

話しを読む見るが好きな人。
興味があれば自努力勝手に操作技術も上がる。

しっかし、疲れた。
きっとお母ちゃんも。

あ。
タイトルの「いりびと」ね。
逆にお母ちゃんから教えて貰った言葉。

初めて聞いた単語だったので、

思わず、ん？？となり意味を聞いた。

それは方言？表現？
今でも使う言葉？

「さぁ、それは知らんな」

お母ちゃんのお母ちゃん。

つまり、あたしのお婆ちゃん。

と、お爺ちゃんと結婚したキッカケは、

「いりびと」だったからという。

聞いた今でもよくわかってない。

滋賀から大阪に移り住んでる。
あたしみたいな事なんだろうけど。

誰かちゃんと知ってたら教えて。

そんな二人が結婚して、

独りで家守してる女主の藁葺きの家に

移り住み、お母ちゃんが生まれた。

今その本人、スマホ用語で必死。

いりびと。
たびびともそうなるか。

おくりびともそうだし。

物語ある呼び方だなぁと。
実際はそうじゃないのかもだけど、

事情を想像してしまう程の言葉は、

美しいなと思ったから。



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