曖昧な恋愛の始まりと終わり。

季節はちょうど今頃で。

5月を迎えようとしてて、
14時の太陽と夕日の真ん中くらいな
強烈な日差しと新緑の緑が痛かった日。
あたしは、右手に琵琶湖を視界にして
湖西から湖北、東に向かって運転しながら、
その時、歯をくいしばるように泣いていた。

今から20年以上も前の話し。

当時、付き合っていた人と別れた。
んーちょっと違うな。
「別れるんだ」と悟ったんだと思う。
たぶん、相手に好きな人ができてたから。
でも確認したわけでもないの。

その人との出会いは仕事関係でね。
まぁ、よくあるパターン。
お互いが意識し始めて、
ある日夜通しで数人とカラオケした後、
朝日が昇ってきた琵琶湖でなんとなく
付き合うことになった。

つまり、
朝焼けの湖畔で、
キスをした。

それからは順調というか、
フツーにどこにでもいるカップル。
ドライブに行き、ごはんを食べ、
実家住まいのあたしンちにも遊びに来てた。
結婚？それは意識してなかったなぁ。

3年？4年？くらい付き合ったか？

ある夜、電話したらさ。
「なぜ？行かないとダメなの？
　またでいいじゃん」
って、とても感情のない声で言われたの。
いまでもその低く冷めた声というか、
一瞬にして他人に位置付けられたような
感覚を今でも覚えてる。

女の感というか何なのか、
いっきに悟って、
あ、もうあたしじゃないんだ。
彼はこれを終わらせたいんだとね。
少なくともそれに至るまでの間に、
よそよそしい雰囲気は感じてたってのもある。

なんで？
その理由も聞かないままというか、
聞こうとしないまま終わらせた。
なんか格好悪いと思ったから。
でも、とても好きだったから泣いた。

それが冒頭のくだり。

そうそう、運転しながら聴いてたのはFM滋賀よ。
FM８０２とか洒落て聴きたかったけれど、
湖北までくると完全に入んないの。
あと、トンネルも多いしね。

「ちょっと出かけてくる」
と、憮然たる顔でお母ちゃんに言って出た。
なんにも考えずにドライブしようと思ってたけど、
そのFMでコブクロの「風」が流れてさ。
こらえきれずに大きく涙腺が決壊した。
自分が持ってるはずの強さと、
崩れてしまいそうな弱さとの葛藤で。

音源？
YouTubeで検索してよ。

それから２年くらい経ってから。
当時の付き合いを知ってた友達から、
彼が結婚したことを知らされた。
あたし、そん時も泣いたんだよ。

「あぁ、やっと終わった」
なかなか溶けない氷山が、
一気に溶けて土が見えたような感覚。
なんだかんだ消化しきれてなかったんだね。
今でも時間かかったなと思うもん。

曖昧なままスタートして、
曖昧なまま終わらせた。

あんまり良くないねって思ってる。
でも、本当によくあることでもある。
以心伝心ってのはあるものの、
言葉で伝えたり受け取ったりするのは、
大事な始まりだと思うし
終わり方でもあると思う。

そういえば、さらに数年後。

「元気？なにしてる？」
って、その彼からメール来た。
返信することなく削除して思った。
君も学びたまへと。

振り向いたらいると思うな。
おんなは直ぐに角を曲がるんだよ。




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